最近、本が売れません。
それでも出版社は、本を出し続けます。
出版社は、株式会社ですから、当然、営利団体なわけです。
つまり、書籍という商品で、いかに利益をあげられるかに注力します。
これを分かりやすく説明するのに株を例にします。
本の企画は株式銘柄だと考えれば、上がりそうな銘柄は投資家に買われますし、上がらなそうな銘柄は見向きもされないことは理解できるでしょう。
上がりそうな書籍は、著者の知名度や内容の完成度と言えるでしょう。
勝間さんの本などは、ソニー株のようなものです。
出版社は、投資家と考えてみてください。
お金に余裕のある投資家は、利益よりも応援したい銘柄を買いますし、余裕が無ければ、利回りの良い銘柄に投資するわけです。
実用書の企画は、ある程度の底堅い売れ行きがあるので、ディフェンシブ株に該当するでしょうし、新人の著者さんはギャンブル性も高く、新興市場の銘柄のように考えられると思います。
そうやって考えると、販売促進キャンペーンは一昔前のIPO銘柄のようなもので、出せばすぐにある程度上がる銘柄となります。
ある程度上がるので、注目を浴び、一般の方々がさらに購入してくれて、さらに上がるのです。
しかし、IPO銘柄と同様に販売促進キャンペーンで売り上げが上がらなくなってきました。
つまり、その神話は崩壊しつつあります。
一方では、出版社の倒産が相次いでおります。
これは、投資家の撤退を意味します。
では、残された多くの投資家が次に投資したいと思うのは、どんな銘柄なのでしょうか?
それは、リスクヘッジされた銘柄。
つまり元本保証した銘柄でしょう。
(実際の市場では元本保証はされませんが…)
出版社における元本保証とは、最低限の原価の回収を意味します。
出版物の原価率は45%前後と言われていますので、7000部発行したら、3150冊以上売れなくては赤字です。
投資家同様に銘柄の評判は業界内に広がります。
損する株は、もう買ってもらえませんし、損しない株は、他の投資家も目をつけます。
実際に、出版社業界でもリスクを少しでもヘッジするために実売印税を取り入れる出版社が多くなりましたし、買い取りや販売促進キャンペーンなどの紐付きの企画しか受け付けない出版社も増えてきました。
逆に増刷できた著者さんには、他の出版社からもオファーがあります。
これから本を出したい方は、3150冊を保証できるなら、企画はサクッと決まるでしょう。
保証できないにしてもそれぐらいの部数を売る見込みを提示した方が良いでしょう。
すでに本が出てしまった方は、最低限3150冊は売る努力をしてください。
最終的に3150冊に到達すれば、販売促進キャンペーンの結果なんてどうでもいいんです。
販売促進キャンペーンの結果は、あくまでも長い販売期間の初速をつけるためだけのことで、どんなに販売促進キャンペーンで売れても原価が回収できなければ意味がありませんし、販売促進キャンペーンで売れなくても、長期的に利益が出るのであれば、問題ありません。
本を売るのは出版社の仕事と思われる方もいらっしゃると思いますが、それだけでは、その部数に到達するのに時間がかかりますし、最終的に到達しなかった場合、著者の悪評として広がります。
そういう意味でも、自分のために3150冊は売るべきだと思います。
株を例にして説明しましたが、実際に出版社は本を出すために初期投資をしておりますので、例にするまでもなく、似たような理屈であることは覚えておいてください。